設計事例

特別養護老人ホーム 杉の里特別養護老人ホーム

宿場町に佇む、四季の表情豊かな特養。

 日光街道(国道4号)の宿場町として栄えた歴史がある杉戸町。道沿いに多種多様な建物が建ち並んでいる一方、道から一つ入ると田んぼが広がり、宿場町であった時の建物の並びを現在でも感じることができます。この敷地を、旅館のようなしつらえとすることで、現代を取り込んだ宿場空間が広がる特別養護老人ホームをつくりました。
 外観はモノトーン調でありながら温かみを感じる旅館を想起させる色としました。
 1階エントランスは展示空間があり、この建物の利用者全員が楽しむことのできる空間となっています。黒の特徴的な床に漆喰調の壁紙でトーンを落としつつ、展示空間に白アクセント色を持ってくることで、展示物が映える空間としました。
 エントランスを抜けると生活空間につながります。1階は2ユニット、2・3階はそれぞれ4ユニットで構成され、隣り合うユニットは2つのパターンの配色としました。
 個室からは田んぼを望め、2階3階と上がるにつれて目線が田んぼから空へと変わり、階や場所によってさまざまに四季が訪れます。
施工データ
建 築 主
社会福祉法人 和心会
所 在 地
埼玉県北葛飾郡杉戸町
工 事 種 別
新築
敷 地 面 積
4,117.74㎡
延 床 面 積
4,138.45㎡
構 造 規 模
鉄筋コンクリート造、地上3階
定   員
特別養護老人ホーム100名
竣   工
2021.6
施   工
建築/髙元建設 電気/中野電業社 機械/ソーセツエンジニアリング

建物を使う全員が楽しめる・くつろげるエントランス。

建物に入ると花台と棚をつくりました。 格子という和の要素を組み合わせて棚を構成し、ディスプレイもでき、本なども置ける、実用と演出を両立した棚となりました。 ディスプレイで空間を楽しみ、本で情報を得る。利用者が見て楽しむ場所、利用者家族にとってふれあう・情報を得る場所として機能するよう考えました。

竣工後、施主様が所有されていた花瓶などを置いていただき、美術館のような素敵な空間となっていました。花台には施主様が製作された生け花が飾られており、ここでも四季を感じることができる空間です。

2つの「和・生活空間」

2つの配色パターンをつくり、隣り合うユニット(共同生活室・個室)で配色を入れ替えました。 家族・職員がどのユニットにいるのかを分かりやすくします。 どちらも和の要素で構成し、建具以外の線量を減らすことで、無機質になりすぎず生活感が出た時も落ち着く雰囲気となるようにしています。

1つ目は「明るい和」
木(建具・床)・漆喰(壁)・石(壁)で構成しているイメージ。引き戸は、縦格子を入れ、2色の木目を使い分けています。
2つ目は「シックな和」
木(建具・床)・漆喰(壁)・和紙(壁)で構成しているイメージ。引き戸の色使いを明るい和と逆転させ、2つの和を対比させています。

階ごとに変わる廊下

1階2階3階と、廊下の壁紙を変えることで、目的の階に着いたことを直感的にわかるよう、配色を変えています。 EVホールやユニット入口は線量の多い壁紙・建具・タイル貼りを採用したり、浴室入口に瓦屋根をしつらえつつ、ベースの壁紙は漆喰調の壁紙とすることで、EVやユニット入口がより一層強調される構成としました。

スタイリッシュでありながら温かみのある外観

下層階を黒い仕上げとし、上層階に向かうにつれて白くすることで建物の圧迫感をなくしながら、モノトーン調の建物に仕上げました。オレンジのアクセントカラーを入れることで、優しさも感じる仕上げとしています。

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